何度でも君に恋をする-2

14/24
前へ
/24ページ
次へ
結婚した事でそれまで住んでいた場所から引っ越した類の母親は、近所に友達はいなく、旦那も遅くまで帰ってこない。 遅く帰ってきてから夫婦の会話を持とうとしても、ちゃんと話を聞いてくれない。 そんな毎日が当たり前の日常へと変化していき、次第に類の母親は疲弊していった。 専業主婦として、家を守っていく中で。 確実に、寂しさだけが募っていった。 「でもそれは、類のお母さんだけがそういう状況にいるわけじゃないし……」 「うん。多分、いくらでもあるよねそういう家庭は。でも母さんは、精神的に誰かにすがりつきたくて仕方なかったんだよ。で、そんなときに母さんの話に耳を傾けてくれたのが……」 「……私のお父さんだったんだ」 2人が親しくなるキッカケは、本当に些細な事だった。 その頃、ちょうど私の父が類の父親に用事があった。 だけど類の父親が多忙だったからか、なかなか連絡が取れずにいたらしい。 その連絡の間に入ってくれたのが、類の母親だった。 「俺が生まれる前は、あの兄弟はそこそこ仲は良かったらしいんだ。少なくとも、今みたいに犬猿の仲ではなかった」 「そうだったんだ……」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加