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結婚した事でそれまで住んでいた場所から引っ越した類の母親は、近所に友達はいなく、旦那も遅くまで帰ってこない。
遅く帰ってきてから夫婦の会話を持とうとしても、ちゃんと話を聞いてくれない。
そんな毎日が当たり前の日常へと変化していき、次第に類の母親は疲弊していった。
専業主婦として、家を守っていく中で。
確実に、寂しさだけが募っていった。
「でもそれは、類のお母さんだけがそういう状況にいるわけじゃないし……」
「うん。多分、いくらでもあるよねそういう家庭は。でも母さんは、精神的に誰かにすがりつきたくて仕方なかったんだよ。で、そんなときに母さんの話に耳を傾けてくれたのが……」
「……私のお父さんだったんだ」
2人が親しくなるキッカケは、本当に些細な事だった。
その頃、ちょうど私の父が類の父親に用事があった。
だけど類の父親が多忙だったからか、なかなか連絡が取れずにいたらしい。
その連絡の間に入ってくれたのが、類の母親だった。
「俺が生まれる前は、あの兄弟はそこそこ仲は良かったらしいんだ。少なくとも、今みたいに犬猿の仲ではなかった」
「そうだったんだ……」
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