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キッカケは些細な事だとしても、それが次第に歯車を狂わせていく。
寂しくて、どうしようもなかった類の母親は、私の父に心を開くようになっていった。
そして、父も……。
過ちは、たった一度きりだったらしい。
でも、たった一度きりでさえ、過ちは犯してはいけない。
それが、常識。
絶対的な、モラル。
「俺が会いに行ったとき、おじさんは本当に悔やんでる様子だったよ。……心の底から、謝罪してる感じがした」
「……でもどれだけ謝ったって、私達家族を裏切ったのは事実なんだから」
反省するなら、最初からそんな関係持ってほしくなかった。
今はただ、父の事を以前のようには尊敬出来ないし、後悔の言葉でさえ聞きたくないと思ってしまう。
自分の弟の妻と一度きりでも関係を持つなんて、その神経を疑ってしまう。
たとえどんな事情があったとしても、この嫌悪感が拭い去れる日はきっと来ない。
そして、その一度きりの関係で生まれてきた類の事を考えると……もう、何て言ったらいいのか、正直わからなかった。
「じゃあ前置きはこれくらいにして。そろそろ、本題入ろうかな」
「……本題?」
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