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「類、まさか……」
「鑑定自体は、そんなに日数かからないで結果が出るんだけど。実際にDNA鑑定をしたいって言っても、なかなか両親が承諾してくれなくてさ」
「……」
「だから、毎日仕事の後に実家に通って説得を続けてきたんだ」
「……毎日?」
「そう、毎日」
「……っ」
「親の話だけで、莉菜と別れる決断をするなんて俺には出来なかった。不確かな話を信じる事も出来なかったし」
泣いたらダメだって思う前に、もう涙が溢れていた。
類がそこまでしてくれていたなんて、知らなかった。
私との血縁関係を、ハッキリさせるために。
「……私、本当、最低だね」
「どうして?」
「だって……類は諦めないで行動してくれてたのに、私は何も……っ」
「莉菜は俺の事、別れた後もずっと好きでいてくれたじゃん。もうそれだけで、充分だよ」
両親を説得してまでDNA鑑定をしてくれた類には申し訳ないけれど、鑑定の結果なんてどっちでもいいって、一瞬思ってしまった。
だってもう、類と離れるなんて。
無理だよ。
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