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確かに類の言う通りだ。
ムダに振り回されてしまった挙げ句、知りたくなかった事実を知らされてしまった。
私と類に血の繋がりはない。
今までと変わらない、イトコ同士。
でも、私の父と類の母親が過去に過ちを犯した事実は、嘘じゃない。
「母さんも父さんも、もっと早くにDNA鑑定をして調べてくれてれば、こんな事にはならなかったのに。全部、曖昧にしたかったんだろうね。実際に鑑定をして現実を知るのが怖かったんだろうけど」
類の勇気がなければ。
類の行動と決断がなければ。
全てが、間違った方向へと進んでいたんだ。
類の両親も、私の父も。
大きな思い違いをしたまま、だけど誰もハッキリと確認しようとはせず。
そのまま、真実を知らずに。
ただ一人、真実を知ろうとした類の行動が、全てを変えてくれたんだ。
「……父さんと母さんも、泣いてたよ。莉菜みたいに」
「……うん」
犯した罪は消えない。
でも、背負っていた重圧は少しだけ、軽くなったのかもしれない。
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