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もう、会えないって思ってた。
もし会えたとしても、拒絶される事も覚悟していた。
だけど私を待ち受けていた現実は。
甘い甘い、彼の愛だった。
「……莉菜」
「ん……」
ほら、彼の声が聞こえる。
私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
でも、振り向いたらそこに類はいなくて。
どれだけ手を伸ばしても、もう類に手が届く事はなくて。
『サヨナラ』
嫌だ。
もう二度と、離れたくない。
行かないで、お願い。
ずっと私の傍にいて。
私には類が、必要なんだよ。
「……っ、行かないで!」
声を振り絞った瞬間、目が覚めた。
何故か目からは涙が溢れていた。
そして私の目の前には、私の顔を心配そうに覗き込む類がいた。
「……悪い夢でも見てたの?」
類はふっと柔らかい笑みを浮かべながら、私の瞼にキスをした。
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