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「……怖い夢、見た」
「どんな夢?」
「……」
類が私の目の前からいなくなる夢。
そう素直に言えばいいのに、恥ずかしくて躊躇ってしまう私。
でも、勘の鋭い類は、見事に私の夢を言い当てたんだ。
「俺が莉菜の前からいなくなる夢?」
「……っ」
「俺は、いなくならないよ」
類は、ちゃんと言葉で安心を与えてくれる。
愛を伝えてくれる。
そしてその言葉に、一切の嘘はない。
愛を言葉にする人ほど、信用ならないって言う人もいる。
私も以前はそう思っていた時期もあった。
だけど類を好きになってから、そんな価値観は見違える程に変わっていった。
「俺には、莉菜だけだから」
「……うん」
「だから莉菜も、ずっと俺の傍にいて」
「……うん。ずっと……ずっと一緒にいる」
類は幸せそうに笑い、私達は唇を重ねた。
これからどうなるのかなんて、わからない。
もしかしたらまた、苦難の道が待ち構えているかもしれない。
でも、私達は二人で乗り越えてみせる。
もう、離れるなんて選択はしない。
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