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「莉菜は?あれから一度も連絡くれなかったし、俺に会いに来てくれなかったけど。……俺に、会いたくなかった?」
私を捕らえて離さないその瞳が、微かに揺れた。
そのとき、類の気持ちが透けるように見えた気がした。
類も、私と同じだったんだ。
きっと、あの日からずっと。
互いに互いを求めて仕方なかった。
「……っ、会いたかった……!」
ついに、その言葉を告げてしまった瞬間。
類の唇が、私の唇に重なった。
覚えていた、類の唇の感触。
もう二度と、この唇に触れる事は出来ないと思っていた。
互いの気持ちをぶつけるように、私達は何度も何度も、優しいキスとは程遠いキスを交わした。
もう、後戻りなんて出来ないと悟った。
それでも、これでいい。
やっぱり、離れるなんて最初から無理だったんだ。
他の道を選んだって、何度でも私達はこの茨の道へと戻ってくる。
それが、私達の運命なんだと思った。
「……莉菜からアルコールの味がする」
「……」
「誰と飲んできたの?こんな遅くまで」
鋭い質問をしながらも、類はキスを止めようとはしない。
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