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「類」
「ん?」
私の肩に顔を乗せて、後ろから私の顔を覗き込もうとした類の唇に、自分の唇を重ねた。
触れるだけじゃ、足りなくて。
頭の中で、三秒数えた。
「……愛してる、からね」
こんな言葉、昔の私なら絶対に口にしなかった。
その恥ずかしさに耐えられなくて、素直に気持ちを伝える事なんか出来なかった。
しようとも思わなかった。
だけど今なら、出来るだけ伝えたいって思う。
私の言葉一つで、類を繋ぎ止める事が出来るのなら、どんな甘い言葉でも口にするよ。
……もう二度と、離れたくないから。
「はー……」
類はスルリと私の体に回していた腕を離し、その場にしゃがみ込んでしまった。
「類……どうしたの?」
私も同じ視線になるまでしゃがみ込むと、類は珍しく顔を赤くしながら呟いた。
「なんなの、その破壊力」
「え?」
「仕返し」
類の唇は、容赦なく私の唇を追いかけた。
ねぇ、類。
この先も、ずっと。
飽きずに私の事を追いかけてね。
恋愛対象外だなんて言葉、何の意味も持たないんだと知ったあの日。
私の世界は、類一色になった。
好きになってはいけない人だった。
だけど、どうしようもないほど、好きになってしまった。
永遠に醒めない夢。
永遠に変わらない愛。
これからも沢山の笑顔が、二人の間で溢れるように。
沢山の幸せが、二人の間に降り注ぐように。
END
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