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「指輪、明日選びに行こうよ」
「え、明日?」
「うん。ダメ?」
「ダメじゃないけど……」
「じゃあ決まり。婚姻届はもう家にあるから、帰ったら書いてね」
「……」
さすが類。
何から何まで、準備周到だ。
何でも面倒くさがって先延ばしにしようとする私とは大違い。
「急かしてごめんね」
「え……」
「でも、莉菜との事はどんな事だって俺の中では最優先事項だから。莉菜の気持ちが変わっちゃう前に、全部急いで進めておかないと」
「……っ、変わらないよ!」
永遠なんて、綺麗事だと思っていた。
今まではどの恋愛も続かなかったから。
たとえ続いたとしても、終わりはあっけなく訪れる。
だから、もう恋なんかしないって、思っていた。
「……私の気持ちは、変わらないよ」
類は、この世界でただ一人だけ、私に変わらない愛を証明してくれた。
決して綺麗事では終わらせなかった。
類の優しさが。
類の愛の言葉が。
類の甘い笑顔が。
私に永遠を信じさせてくれた。
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