憑依

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「お待たせ。」 誠子は、道端に停められている卓也の車に乗り込んだ。 「おぉ、お疲れ。」 「お疲れ様。」 仲間たちが迎えてくれた。 卓也の車は小型のセダン。 運転席には卓也。助手席に私。運転席の後ろは優子。真ん中が博史。誠子の後ろには隆太郎が座っている。 「よし。全員揃ったから出発。」 卓也は車をゆっくりと走らせ始めた。 「今日どこ行くの?」 助手席の誠子は卓也に聞いた。 「へへへ。何を隠そう、今日は心霊スポットに向かおうと思ってる。」 やっぱり…。 あんたの連れていく所はそういう所しかないのかよ。 心の中で思った。 「しかも、誰でも見ちゃうらしいところ。」 誠子は目を丸くした。 「えっ?誰でも見ちゃうって何を?」 あきれ顔の卓也が私を一瞥した。 「心霊スポットに行って見ちゃうって言ったら、あれしかないでしょ?あれ!」 「えっ?霊ってこと?」 車内は一瞬沈黙した。 「ぶゎっはっはっはっは。」 突如巻き起こる笑い声。 「むしろそれ以外って何?」 誠子は膨れっ面で、卓也の腕をバシバシ叩いた。
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