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すぐに銃口を向けられ、口を噤む。
だがそれに示し合わせたかのように、サラリーマン風の男とは反対側――俺の右に三つ隣のヤンキーっぽい兄ちゃんが、動いた。
無言で素早く立ち上がり、背後からの奇襲。
――だが。
「ふっ……」
くの字に折れ曲がるヤンキーの身体。
その腹部には、武装した男の踵が――後ろ蹴りが突き刺さっていて。
走り込んでいったはずのヤンキーが、その一撃で跳ね返されて後ろに吹き飛ぶ。
武装した男は蹴り足に引かれるまま背後を振り向き、銃を構え直して――撃った。
耳を劈く発砲音。
「ひっ――きゃあああああああ!」
女性の悲鳴。
飛び散る血煙と、硝煙の臭い。
床に広がる夥しい量の朱。
大の字に転がるヤンキー風の勇敢な兄ちゃんは、眉間を正確に撃ち抜かれて絶命していた。
プロ――こいつらは、戦闘のプロだ。
俺も格闘技をかじっていたから分かる。
いまの動きは生半可な訓練で身につくものではない。
背後からの奇襲に的確なカウンターを打ち込み、そこから流れるような動作で銃撃を狙った場所に決めるなんてことは――
「騒ぐな。撃つぞ」
短い言葉。
けれど明確に向けられた銃口と殺意で、悲鳴を上げて泣いていた者たちが次々と黙っていく。
――銃声。
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