デリート

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 それでも泣き止まない者が、撃たれた。  為す術がない。  このままこいつらの目的も、俺たちの処遇も分からぬまま、じっと待つしかない……のか? ――刹那、全てが【浮いた】。  電車も、乗客も、武装集団も、地下空間を形成するコンクリートまでも、全て。  俺の身体も、シートには触っていない。  空中に放り出されている。  浮いて、壊れて、バラけて、照明が落ちて何も見えなくなって。  轟音、悲鳴、破砕音、擦過音、風鳴り、肉が裂けるような音。  ジェットコースターが落下するときみたいな浮遊感から一転、高所から地面に叩きつけられるような衝撃が全身に走る。  連続で、肩に、腰に、背中、足、頭部を打って―― ……。 …………。  顔に、水滴が掛かった。  俺はどうやら、気絶していたらしい。  目を覚ますと辺りは真っ暗で、何も見えない状況で……。  何が、起こった?  音が、聞こえない。  頼りになるのは触覚だけ……。  そう思って手足を動かそうとすると―― 「いづッ……!?」  全身に鋭い痛み。  かなり、重傷を負っているらしい。  あまり痛まない範囲で手足を動かしてみると、周りには固い地面とか、柔らかい何かがあるようだ。  あ、そう言えば、スマホを持っていたはず。     
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