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ここは早くこの事故を知らせて、救助を呼ばないと……。
どこかに連絡しようとスマホの画面を見たが、圏外だ。
電波が届く場所まで、まずは移動する必要がある。
「くぅ……ぐぁ、はっ、はぁっ……」
立ち上がるだけで、激痛から意識が飛びそうになった。
だが俺のように生き残っている人もいるかも知れない。
救助は早ければ早いほど、そういった人々の生存率があがる。
急いで地上方向を目指そう。
俺は痛みでまともに動かない右足を引きずりながら、壁伝いに手をついて、電車の進行方向に向かって歩きだした。
地面が斜めに傾いていたり、断層が見えるほどズレていたりして非常に苦労を伴ったが、なんとか明かりが見えるところまで歩いてこれて……。
けれど、スマホの電波はまだ圏外。
もし、地震だったら、携帯基地局とかもやられていてダメかも知れないな。
地上に出て、状況を把握した方がいいかも。
俺は地下鉄駅構内をよじ登り、階段を一段ずつ、這うように登っていった。
一段登るたびに痛覚が電流となり、全身を引き裂くように駆け巡る。
明るいところに出て分かったが、出血もそれなりにあったようだ。
滴り落ちる赤い血が、階段に滲んでいく。
「はぁっ……はぁ……ッ。ぜぇ……ぜぇ……」
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