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一人だと、時間が過ぎるのが早い気がする。お風呂から上がり、髪を乾かしていると、嵐君からラインが来た。
連絡先は交換していたけれど、やりとりをするのは初めてだった。
──こんばんは。今、何してた?
──お風呂上がり。髪乾かしてる。
返して、ちょっとぼんやりする。
小野の言う通りだったのかもしれない。僕は、考え過ぎなんだろうか。
好きだと言ってくれたひとに、こんな普通に話ができるのなら。彼に対してそれができないはずがない。
──おれは、宿題が終わったとこ。
両手で顔を覆う、熊のスタンプ。
──頑張ったね。
少し間を置いて、返信が来る。
──明日、出さないといけないやつだから。
しばらく、そんなささやかなやりとりを繰り返した。
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