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いくつかの、あまり意味のないスタンプの応酬の後で。
──明日、青司君ちに来る?
さらっと問われて。髪から水滴が、ひとつ、膝に落ちる間に僕は腹を括った。
──行こうと、思ってる。
まだ、神谷さんに確認はしていないが。きっと大丈夫だろう。彼は、あの夜のことを何とも思っていないだろうから。
──そっか。じゃあ、おれも少しだけ、そっちに行く。
──分かった。
おやすみ、と言う代わりに嵐君にスタンプを送り。それから、彼に宛ててメールを打った。
どうして、思うことが多いときほど、僕の言葉は短くなってしまうんだろう。
素っ気ないくらいの文章が、画面に映し出されていた。
『こんばんは。明日、神谷さんさえよければお宅に伺います』
短いメールを送信して溜め込んでいた息を吐き出すと、すぐに返信が来た。
『掃除、洗濯、嵐の世話。時間は、いのりが決めてくれて構わない』
『分かりました』
普通に、と僕は思った。
普通に頑張ろう。そう思った。
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