冬の匂い

7/20
43人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
一通り、話は終わり。僕は嵐君と別れて上の階へと向かった。 「んー……」 嵐君も王様の血筋なんだなと、改めて思う。意志が、強い。 「伝える、か」 落ち着いて考えてみると、それはすごく怖いことのような気がした。彼との関係は一時的で、不確かなものだから。気持ちを伝えて拒絶されたら、側にいることも叶わなくなる。 まだ、好きだという気持ちしか持っていない状態で。多くを望んでも上手くは行かない気がする。 少しずつ、考えてみよう。 自分がどうしたいのか。彼と、どう付き合っていきたいのか。 王様に従属できる期限は、刻々と終わりに近付いてきているのだから。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!