曖昧な繋がり

2/25
55人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
十一月になり、冬の匂いも一層濃くなって。季節が移り変わっていることを日ごと実感する。 「ありがと。助かった」 僕は小野にノートを返した。父の退院に付き合って休んだ分のノートだ。ありがたくコピーを取らせてもらった。 「ま、お互い様ってことで」 空きコマが重なっていたので、小野と学食でのんびりしている。 「小野」 「んー?」 「小野って今彼女いる?」 「今はいないけど。何で?」 「いや……、何となく」 「いのりからそういう話すんの、初めてじゃね?」 それは経験がない分、振っても話が続かないせいだ。 「片想いって、したことある?」 ふっと笑ってから。 「あるに決まってんじゃん」 小野は答えた。決まってるのか。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!