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「自分が好きになったやつが、最初っから自分を好きでいてくれるわけないじゃん」
「……だね」
「そんなん、ほっとんどないから」
あっさり言い切って、小野は携帯に視線を落とした。
「だとしたら、どうやって両想いになるんだろう?」
恋愛講座かよ、と突っ込む小野。
「意識させて、好きだって伝えて、後は状況次第じゃね」
意識させて……。初手から既に難しそうだった。彼が僕を意識する。そんなこと、あるだろうか?
「そろそろ、話してくれてもいいんじゃねえの?」
小野がごく普通に言うので、僕もごく普通に返してみた。
「好きなひとができた。年上の、男性」
内容が内容なので、声量は落とした。小野は、ああそう、と平然と返してから。
「はあ……!?」
ものすごく驚いた顔をして、僕を見た。
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