55人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「え? マジで?」
予想以上のオーバーリアクションで驚かれ、何だかおかしくて笑ってしまった。
「マジで」と僕は答えた。
「ちょい前から様子がおかしかったの、それか」
「たぶん」
「で、片想いなわけ?」
「うん」
はあ、と小野は溜め息をついた。打ち明けられてもどうしようもないことを、打ち明けている自覚はある。それでも、小野なら、ちゃんと話を聞いてくれる気がした。
「……相手って、どんなん?」
どんな、と言われても。僕が彼について知っていることは、依然として少なかった。
「十二歳年上で、見た目はモデルっぽい感じのひと」
他にも、家族のことなどいくつか知っていることはあったが、それは他人に話していいことじゃない。
「いのり、今まで誰かと付き合ったりとかしたことないって言ってたよな」
「え? うん」
「ふ……っ」
堪えきれない、といった様子で、今度は小野が笑い出した。
「何?」
「何で、最初っから、そんな面倒なとこに行くかな……っ」
笑い声で、言葉が途切れ途切れになっている。笑い過ぎだろ、と僕は彼の手を叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!