ミルクキャラメル

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小野と別れ、講義を受けて。何度か小野が言った言葉の意味を考えてみたりもしたが、やっぱり理解することはできなかった。 「……じゃあ、今日はここまで」 先生が言い終えるか終えないかと言ったところで、数人の、ペンやノートをしまう音がする。もう少し待てばいいのにな、と僕は思う。確かに、早めに行かないと学食の席がなくなるのは分かるけど、先生に失礼じゃないか。 少しだけいらっとした気持ちで外に出ると、正面から木枯らしが吹きつけてきた。 「寒……」 生協と学食が入っている建物へと向かう人の波に加わり、さあ何を食べようかなと思案していると。ちびっこの群れが目に飛び込んできた。 小学生、くらいだろうか。時々学内に、社会科見学で付属校の小中学生が来ることがある。自分のいる学部には関係ないけれど、先月も理系の学部では、実験教室のようなものが小学生を対象に実施されていた。 何気なくその集団を眺めていると、くるっとある男子がこちらを振り返った。 「あ、いのりさん」 小学生の団体の中で、メンズモデルのような彼の外見は、明らかに浮いていた。 嵐君、と僕は小さく彼の名前を呼んだ。
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