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「え!? マジで……?」
そんな驚くことかなと思いつつ、僕は嵐君にハンバーグとオムライスのプレートを手渡した。彼の部屋に着いて間もなく嵐君がやって来たので、今は一緒にごはんの支度をしている。
「青司君と、まだしてないの? 何で?」
「何でって……」
神谷さんはまだ帰ってきそうにない。それにしても際どい話題に、つい口ごもってしまう。小学生がそんなこと、追及しないでほしい。いや、小学生でなくともやめてほしい。
「てか、青司君と夜一緒にいて、何もないとか」
ないない、と断言され、僕は溜め息をついた。聞こえないように、本音も吐き出す。
「……から」
「え?」
「何でもないっ。ごはんにしよ」
「いの……」
「神谷さん少し遅くなるって、連絡来てたし。先に食べよう」
「ん、分かった」
強引な話題転換。違和感しかなかっただろうに。大人な少年は察してくれて、深くは触れてこなかった。
──怖くて、最後までできなかったから。
なんて、人に言えるはずがないじゃないか。
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