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想いが通じた夜、僕は彼の部屋に泊まった。泊まること自体は初めてでも何でもないので、特にためらいはなかった。何度かそうしているように、ごはんを食べに外に出て、帰ってきた後で彼が僕に言った。
「風呂、入るか」
「あ、僕準備してきますね」
すっかり馴染んだハウスキーパー業のせいか、風呂、と言われると、支度せねばと思ってしまう。しかし、彼の言わんとしたことはそういうことではなかったらしい。
「そうじゃなくて」
「え?」
「一緒に、入ろうか」
一緒に。僕はきょとんとして、訳も分からずそれを繰り返した。
「行くぞ」
「あの、無理です」
「無理じゃない。二人くらい入れる」
「せ、精神的に……っ」
見るのも、見られるのも嫌だ。気持ちは全て顔に出ていたようで、彼がくすりと笑った。
「後で、それ以上のことをするのに?」
彼の声を聞くだけで、身体が甘く痺れる気がした。
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