昔の恋 相坂幸太郎

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昔の恋 相坂幸太郎

「まだ三年前の事ひきづってんの?」 「別に…。」 俺は自分の住むアパート近くの居酒屋で一人、 酒を飲んで居た。 店がひと段落ついて店主の菊ちゃんが話しかけて来る。 俺、相坂幸太郎。35歳 店主、菊間宗介。36歳 俺の唯一のダチ。 「そろそろいー人作れょ。」 「もう、そーいうのは…」 俺は同性愛者だ。気付いたのは中学の時。 普通と違う事が当時は怖かった。 周りの目もだけど自分自身も… そのうち恋人が出来たりして これがありのままの自分なのだから…って受け入れる事が出来たのは割と早い段階だったと思う。 今から三年前。 付き合ってたヤツ(鈴木)に 俺は捨てられた。 いい歳して、今更って感じだけど 鈴木とは俺がそれまでに経験した事の無い… 本気の恋愛だった様に思う。 同棲までしてたのに…… 二股をかけられてた。 当時全く気がつかなかったけど 今思えば心の距離があったと思う。 踏み込めない一歩、見えない壁。
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