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則本遊side
子供の、様に泣く相坂を抱きしめた。
言いたい事を我慢出来るほど大人じゃないけど、間違った事言ってるとは思わないから、いつも後悔は無い。
それでも人にはそれぞれ考えや、思いがある訳で。
俺は相坂にそれを、押し付けていないか?
俺ってこんなに人と向き合えるタイプだったっけ……
大体が途中で面倒になってどうでも良くなってしまうのに。相坂の事となると調子が狂う。
心配性で臆病な相坂。
今までどんな過去があったとしても、今のお前、これからのお前は俺のものであって欲しいと思う。
俺の……だ。
相坂に、下の名前で呼びたい……と、
泣き止んだ相坂を抱きしめたまま聞いてみた。
相坂は腕の中、顔を上げて俺を見つめる。
まだ、瞳がウルウルしてるけど、表情は、柔らかだ。
「ゆう。」
……不意打ちだろ?
なんでこんなに可愛いんだこの人は…
キスをする。丁寧に、優しく…優しく。
「コータロ。」
菊さんが、「コータ」と、呼ぶのを思い出して
同じは嫌だと思った。
「あいしてる。」
コータロの心の中にコトン……と俺の言葉が、
やっと届いた気がした。
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