ギャングと田舎のばあちゃん

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 ロッドの側頭部に捻り込んでいた拳を離すと、「けっ」と吐き捨て、ジャンは座席に深く座り直した。 「ガキ引き取ったら、ボスに引き渡すまでお前が面倒見ろよ」 「まじっすか。女の子、ボスじゃなくてオレにホレちゃうかもしれないっすよ」 「そうなったらボスと修羅場だな色男」  目をつむり、深く息をつく。 「俺は一眠りする。昼飯時になったら起こせ」 「わかりましたっす。馬車に酔ったっすか?」 「お前の田舎のばあちゃん直伝ジュースで、胸焼けして気持ち悪いんだよ……」  唸るように言うが、ロッドは気にした様子もなく再び「仕方ないっすねぇ」と頷いた。手綱を片手に持ち変え、視線は前に向けたまま、再び鞄を漁り始める。 「気持ち悪いときは生のレモンをかじると良いっす。田舎のばあちゃんが言ってたっす」 「お前の田舎のばあちゃんの胃が凄いことは充分に分かったから……もう止めてくれ」  ほとんど懇願するような気持ちで、ジャンは胸をおさえた。
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