ギャングと田舎のばあちゃん

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 太陽の眩しい朝だ。ジャンは光を睨むように窓の外をしばし眺めると、そっとブラインドを閉じた。黒のスーツを着込み、二泊分の荷物を持って部屋から出る。 「アニキ、おはようございます!」 「おう、ロッド……朝から元気だな」  建物の外では、すでに馬車とロッドが待機していた。ジャンの言葉に、「はい!」と元気よくロッドが頷く。 「アニキは元気ないっすね!」 「うるせぇ、低血圧なんだよ……」  青白い顔をしたジャンを、ロッドは非難するような目で見た。 「アニキ……また朝ごはん食べてないっすね? 朝ごはんは一日の資本っす。ちゃんと食べなきゃダメっす! 田舎のばあちゃんもそう言ってたっす」 「いらない……食いたくねぇ……」  ジャンが気だるげに馬車へ乗り込むと、ロッドは「仕方ないっすねぇ」と呟き、馭者席に座った。
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