午後4時44分、精霊の囁き

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また眼をまたたくと、そこは幻の1番線だった。 なんの変哲もないホームと壁が眼に映る。 だが横にはタユナとナライが並んでいた。 いま体験したことが決して幻想でないと証明している。 「あの列車はいったい……?」 「あれは精霊界へとつながる“屍者の列車”です」 タユナが見えない眼を伏せながら答えた。 「ではアヤカさんは……」 「精霊界は、この世界と霊界のあいだに横たわる世界。この世を去った死者はしばらくの期間、その精霊界に留まると言われているのですよ」 「……きみは彼女になにをしたんだい?」 「トウマの想いを分けてあげたのです。精霊界の住人からは、この世界の半分しか知り得ませんからね」 「この世界の住人も一緒か……。それにしてもアヤカのシャーマン能力は凄いね」 ぼくは感心して言うと、タユナの白い頬に血の色が差した。 「ま、まだシャーマンとして半人前ですから」 「タユナにとって、これが最初の人助けだからな」 ナライが苦笑するように言った。 「ぼくが最初なの?」 「普段は家に引き籠もっているからな。地下鉄に連れてくるのには閉口したぞ」 「そ、そんなことありません」タユナが口を尖らせる。
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