11人が本棚に入れています
本棚に追加
また眼をまたたくと、そこは幻の1番線だった。
なんの変哲もないホームと壁が眼に映る。
だが横にはタユナとナライが並んでいた。
いま体験したことが決して幻想でないと証明している。
「あの列車はいったい……?」
「あれは精霊界へとつながる“屍者の列車”です」
タユナが見えない眼を伏せながら答えた。
「ではアヤカさんは……」
「精霊界は、この世界と霊界のあいだに横たわる世界。この世を去った死者はしばらくの期間、その精霊界に留まると言われているのですよ」
「……きみは彼女になにをしたんだい?」
「トウマの想いを分けてあげたのです。精霊界の住人からは、この世界の半分しか知り得ませんからね」
「この世界の住人も一緒か……。それにしてもアヤカのシャーマン能力は凄いね」
ぼくは感心して言うと、タユナの白い頬に血の色が差した。
「ま、まだシャーマンとして半人前ですから」
「タユナにとって、これが最初の人助けだからな」
ナライが苦笑するように言った。
「ぼくが最初なの?」
「普段は家に引き籠もっているからな。地下鉄に連れてくるのには閉口したぞ」
「そ、そんなことありません」タユナが口を尖らせる。
最初のコメントを投稿しよう!