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「ひとりで歩く練習、ちゃんとやっていますとも」
そう言う割には背を向けた途端、なにもない所でステンとつまづいた。
「大丈夫かい?」
ぼくは誘導するように、肘の上に彼女の手を招いた。
「あなたは優しすぎるのです」
タユナがはにかむように言った。
その腕はまぶしいくらいに人の温もりがあった。
逃げた風祭が警察に捕まり、雪ノ下アヤカの殺害を認めた。犯行動機は痴情怨恨のもつれである。
アヤカの死体は、近くの山に埋めたと自供した。
その死体遺棄現場には、アマリリスの花が咲き乱れていたという。
──午後4時44分、精霊の囁き 終。
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