第一話 彼の秘密

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第一話 彼の秘密

自分は女の子なんだ、と自覚してくる小学生高学年…くらい。 お母さんに駄々をこねながら、片手では重すぎる分厚い月刊の少女漫画雑誌を買ってもらい、翌月号を待ちわびながら飽きずに何度も何度も繰り返し読んでいた。 友達と今月号の感想を語りあったり、家に遊びに行って自分が買ってもらえていない方の雑誌を借りて読んでいたりしていた。 他にも縄跳びとか、おままごととか、テレビゲームとか。 色々遊ぶものは多かったけど、少女漫画を読んでいる時間がとても楽しかったのを覚えている。 内容と言われると全く覚えていないのだが、やっぱり少女漫画にでてくる主人公の相手役の男の子は、 顔が良くて、 頭も良くて、 スポーツもできて、 優しくて、 お金持ちで、 実はある国の王子様だったり、 実は魔法使いだったり… …まぁ、ファンタジー類いのことは置いといて。 とにかく女の子の理想をありったけかき集めた集合体の具現化、みたいな男の子ばかりが描かれていた。 最初は憧れと妄想と目標を抱きながらキラキラした目で読んでいたけれど。 あるときそんな人はこの世にはいないと悟ってしまい、それがきっかけなのか少女漫画も読まなくなっていった。 そんな完璧な人はいない。 もし居たとしても遠くから見ているだけで恋愛対象になるなんて恐れ多いし、というか、完璧すぎると怖い。 いないいない。 架空の人物。 偉人レベル。 なーんて思っていたら。
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