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「あ…ぁっ、…いい…」
奥まで満たされたところで彼は身体の動きを止め、大きく息をついた。深くゆっくりと呼吸を整える。
「ごめ…、少し。…待って。情けないけど。…もう、出そう…」
わたしは彼に両手を差し伸べて引き寄せようとする。
「いいよ、出して。わたしで気持ちよくなってくれたら、もお、それで…。動こうか?わたし…」
「さっきと言ってること…、んっ、違う、だろ…。一緒に、って…、あぁ…」
彼の身体が切なげに震える。何だかつらそう。わたしはそっと彼の下で腰を柔らかく動かした。
「いいの。…こうすると、わたしも。…気持ち、いい…、から。…あ…っ、」
「んっ、より。…よせって…、は…ぁ…っ」
身悶えする彼の表情がぞくぞくするほど色っぽい。わたしは容赦なく腰を遣いながら目を離せず陶然となる。なんか…、もう。気持ち、よくて。…止まんない…。
「あ、ん、かがやさん。…好き。すきなの…、あぁ…」
「おれも。…俺の、ほうが、夜里。ずっと…、好きで。…あっ、もう。…そんな」
いつの間にか彼の身体も猛然と動いてる。中を責められ、刺激されて奥がじーんと深く感じはじめて…。
わたしはぐ、と彼の背中に指先を食い込ませた。もっと…、したい、けど。
もぉ、…限界。
「ん…っ、や…あっ、かがやさん。加賀谷…、さん。すき…、ん…っ!」
喉の奥から叫ぶような声が漏れ、がくがくっと腰が抜けるような感覚。…ああ。
あたし、壊れちゃう…。
ふぅっ、と意識が薄らいだのは多分一瞬のこと。ふと我に返ると彼がわたしにしがみついてぐったりと身体の重みを凭せかけながら息も絶えだえに呟いていた。
「より。…夜里。…あぁ…」
不意に怒涛のように実感が押し寄せてきた。わたし、加賀谷さんと。…したんだ。
愛おしさがこみ上げて彼の身体にぎゅっとしがみつく。何がなんだか未だによくわからないし、事態も把握出来てない。急転直下過ぎてついていけてない。頭はぐるぐると混乱したままだけど。
確か、好きって言ってくれた。一度だけじゃなくて何度も。だから聞き間違いじゃないと思いたい。どうしてかわからないけど、この人わたしのこと好きみたい。
わたしがこの人のこと大好き…、な、くらい?
だったらいいけど。
「加賀谷さん」
わたしの呼びかけに彼はゆっくりと顔を上げた。その目が何かで霞んでいるように見える。
「お仕事。…いいの?そろそろ、行かないと」
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