慰み者

後輩がパンを食べたいと言ったので、作ったまでは良かったが。

「いや、こういうの、写真撮ってアップしたらすげーいいねされるんすよ！ハッシュタグは兄さんパンにしとくから！」

とか言って写真投稿アプリにアップしたところ、数日後

「ちょ、兄さんパンすげぇいいねされて、兄さんに取材依頼みたいの来たんですけどどうします？」

と目をキラキラさせて言うもんだから丁重に断ったのだが

「えーっ、言うの遅いっすよ！俺もう受けちゃったもん、取材依頼！」

ということになり、しまいに

「あ、言うの忘れてた！俺実習で一緒に参加できねーっす！ごめんね！」

なぞと当日になってふざけたことをぬかすので、どういうわけか、俺は１人、待ち合わせ場所である、街のとあるオシャレカフェにいた。
絶対１人じゃ来ないような、キラキラと爽やかさの溢れる、明るいログハウス調のカフェ。完全に女子向け。
キャップから靴まで黒づくめの俺は完全に浮いていた。

（窓際に座らなきゃよかった）

すぐ見つけやすいかと思って気を遣った結果だったけど、陽射しも相まって暑い。