普通の家の部屋の怪 「誰だ、おまえ」

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① ……一年前の話になるんですけどね、あれはたまらなかったなぁ。 えぇ、何って俗に言う“金縛り”ってヤツなんですけどね。   そもそも私の“アンテナ”って、他の人よりも、多分に高い方なんですけどもね……。 あ、“アンテナ”って言うのはその何だ……”感覚の鋭さ”って言ったらいいのかなぁ…… え、ああ、そうです。 まぁ“霊感”って考えてくれたら解りやすいか知れません。 ただ私は、その……幽霊が見えるとか、それだけに限定するのはどうかなー、と思ってるので。 ま、他人に見えないものが見えるのは事実ですが。 あ。有難う。砂糖はいりませんよ。 珈琲や紅茶には砂糖は入れないタチなんです。 苦味がね、好きなんですよ。 煙草もそうですが、苦味は私の目を覚ます気がするんですな。   あ、失礼。話しが逸れました。 そうそう、あの“金縛り”は酷かった。人生の金縛りの中でも1、2を争う位です。 じゃあ、お話ししましょうか。あの朝の事を。   うん、あれは秋の入りの頃だったなぁ。 ―― 最近は9月を過ぎても延々と暑い日が続くので、暑がりの私は、少しでも寝苦しいと、扇風機かクーラーに頼りがちなんですが、その日はいつも以上に涼しくて過ごしやすかったんで、そういったモノは一切つけておりませんでした。   明け方……確か5時頃だったと思います。外が薄っすらと明るくなってきてたんで。 何故だか急に……フ、と目が醒めちゃったんですよねぇ。 なんでって、何かの気配を感じたんですよ。 で、「ああ、何かいるなぁ」……と。 でも、イマイチその時は正体が解らなかった。
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