シロクロ

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 最初は綺麗だった体も、いつしか汚くなった。  ボクらはいつからこんなに汚い体になっちゃったんだろう。  降り注ぐ雨が冷たいのに、誰もボクらを守ってくれない。  こんな仕事嫌だよ。辛いよ。  たまに聞こえてくる、とてもとても大きな音が怖い。 「うわっ、クロ! 何、今の音!」 「わ、分からないっ! 確か前にも同じような音聞いたよな!?」  怖いよ、怖くてたまらない。  目を閉じたいのに、耳を塞ぎたいのに、勝手に音がボク達の中に入ってくる。  どうして赤い水でボクらを汚すの?  目の前が真っ赤で何も見えなくて、相棒の姿も見えなくて、怖いよ。  さみしいよ。心細いよ。一人にしないでよ。 「え、ク、クロ! クロ!? どこにいるの、見えないよっ」 「シロー! オレはここにいるぞ! シロも隣にいるのか?」 「うん、隣にいるよ! 怖いよ、クロっ」 「大丈夫だよ、隣にいるから!」  すぐ傍から聞こえてくるクロの声に、心から安心した。  自分のことを見てくれてるから、こうして気付いてくれるんだよね。
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