1

7/25
前へ
/194ページ
次へ
鈴蘭と未知はまだ発情期を向かえていなかった。 早いと中学に入学する頃、遅くても成人するまでには初めての発情期を向かえるらしい。 オメガとアルファの体については小学校の保健の授業で絶対に教えられる。 それはアルファとオメガが番う者同士であるからだ。 番うというのは夫婦になるということではない。 オメガのフェロモンに誘発されたアルファはヒートと呼ばれる突発的な発情状態になる。 ヒート状態のアルファはただひたすら本能と欲望ままにオメガの身体を求め、そのうなじを噛もうとする。 アルファにオメガがうなじを噛まれることが番うことを意味するのだ。 うなじを噛まれたオメガは、その噛んだアルファ以外を受け入れられない体になる。 オメガにとって一番の恐怖は、自分が意せずアルファにうなじを噛まれること。 そのため、発情期を向かえたオメガは首を守るために首輪をする。 鈴蘭のクラスにもすでに首輪をして登校する生徒が半数以上いた。 まるで奴隷のようなその首輪。 もちろんファッションのひとつとして洒落た細工をされているものもあるが、鈴蘭にはただの枷にしか見えなかった。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1988人が本棚に入れています
本棚に追加