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「類、こっち来て」 自室のベッドの上から伊奈は相馬へ手招きした。 シャワーを浴びたまま乾かしていない髪の毛から、ぽたりを滴が垂れるのが見える。 それが自分がつけたうなじの噛み痕にも滴って、伊奈はそこに何度でも噛みつきたい衝動に駆られる。 初めて会ったあの日、自分にしか嗅ぎ取れない相馬の香りを感じ取った。 相馬を手に入れるまでその匂いを忘れることができなくて、ついに相馬がこの運命に観念してくれた時は、ちょっと今死んでも幸せかも、なんて柄にもない事を思ったりした。 番になることに不安はなく、一生相馬だけを愛すことが自分が生まれてきた意味に思える。 「類、好きだよ。大好きだよ」 相馬を腕の中に閉じ込めて、堂々とそう告白する瞬間が一番好きだ。 だってそう気持ちを伝えれば、彼も同じように応えてくれるから。 「直己、今日はありがとうな」 「俺も好き」という予想していた返答ではなかった事に、伊奈はすこし不機嫌になる。 拗ねて唇をへの字に曲げると、相馬は笑ってそこにキスしてくれた。 「鈴ちゃんの事は後でいいから、ねえ…、早くしようよ」 相馬の体に巻きついているタオルをはぎ取ると、彼の中心はすでに反応を見せていた。
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