1990人が本棚に入れています
本棚に追加
「るいるい~、やる気まんまんじゃん」
伊奈は上機嫌で相馬をベッドへ押し倒した。
「まあ…発情期だし…」
学園で見せる委員長みたいな顔ではなく、伊奈にだけ見せる照れた表情で相馬はじっと見つめ返してきた。
「やっぱり類の匂いはいい匂い…」
首筋に鼻を押しつけ舌で舐めると、相馬の体がぴくんと痙攣した。
他のオメガのフェロモンの匂いと相馬のフェロモンの匂いは、とても似ていて全く違う。
孕ませたいと本能が思うのは同じだけれど、相馬の匂いはもっと脳内に何かを語りかけてくるのだ。
言葉で表すのはとても難しいけれど、それは優しく伊奈を包み込むように香る。
誠悟が、鈴蘭から香る匂いを「泣きたくなるほどに甘い」と表現したらしいが、伊奈にはその気持ちがよくわかった。
相馬の匂いは狂おしく愛おしいという気持ちを伊奈に教えてくれた。
好きとか愛してるなんて飛び越えて、自分は相馬のために生まれてきたのだとはっきりわかる。
それは相馬も同じらしく、「伊奈直己というアルファがいるから自分はオメガに生まれてきたんだ」とはっきり告げられた。
これを運命と言わずして、何を運命の番と言うのだろう。
ついでに、「お前が運命の番じゃなかったら、絶対関わりたくないタイプ」ともはっきり宣言されたけど。
最初のコメントを投稿しよう!