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うつぶせにさせた相馬の首筋に舌をはわせる。 そこには伊奈がつけた歯形がくっきりと番の証として残っている。 何度でもそこを噛みたい衝動に逆らう気は全くない。 その傷痕に柔く歯を立ててやると、相馬はふるっと身震いした。 「あ…、あ、直己…」 相馬は伊奈の硬直に腰を押し付けてくる。 「類、我慢できないの?」 優等生の相馬がこんなにも淫らな顔をするなんて、誰が想像するだろう。 振り返って伊奈を見つめるその顔は、欲に濡れて欲しがっていた。 「我慢なんて…できないの知ってるだろ」 「うん。知ってる」 甘い匂いか濃くなる。 番になろうと決めたのは、この甘い匂いをひとり占めしたかったからだ。 他の誰にも嗅がせたくない、一生自分を求めて発情すればいいのに。 その思いを打ち明けた時、伊奈は「もう俺はお前だけのものだろう」と澄ました顔で言った。 出会ったその日から自分のうなじに痕をつけるのは伊奈しかいない、そう確信したと相馬は言うのだった。 ぬかるみにぐっと熱い己を打ち込む。 「あ…、あ…。はあ…」 控えめな低い声の喘ぎに、最高に煽られる。 男らしい背筋がこんなに艶めかしく見えるのは、それが相馬の身体だからか。
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