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「ねえ、るいるい。鈴ちゃん達、やったかなあ」
眠そうにまぶたを擦る相馬を腕の中に閉じ込めた。
相馬はいつも、猛烈に愛し合った後、必ず急激に眠くなってしまうのだ。
眠くなるのは満足した証拠であり、伊奈は常に相馬が眠くなるまで頑張ってしまう。
「星崎?いや、あいつらに限ってそれはないだろう」
ふああ、と油断しまくりの顔で相馬は大きなあくびをした。
鈴蘭を星崎家まで車で送迎してやると、箱宮は、心配だから鈴蘭に付き添うと一緒にそこで下車した。
運命の番とお互いに認識しているのならさっさと番えばいいのに。
伊奈が言うと、相馬は「そんなの馬鹿がすることだ」と自分を棚に上げて言い切った。
「じゃあ、類は馬鹿なんだね?」
「ああ、そうだ。でも俺は自分が馬鹿だと自覚しているから愚かではない」
訳のわからない理屈を述べて、相馬は秒速で眠りに落ちてしまった。
「…余計なこと考えても無駄なのになあ。ねえ、るいるい」
今夜は柄にもなくおせっかいを発揮してしまった。
相馬が鈴蘭を放っておけない気持ちはわかる。
きっと過去の自分達と彼らをどこか重ねて見ているのだろう。
くあっ、っと大あくびをして、伊奈も心地よい眠気にまぶたを閉じた。
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