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「もう~。やったかやらないかなんて、それ以外にないでしょうよ~。全く鈴ちゃんは」 ぐいっと鈴蘭のうなじとシャツの襟の間に指を突っ込み、伊奈はそこに噛み痕があるか確認している。 「や、やめてよ~…」 うなじは相変わらず綺麗なままで、丈夫な革の首輪でしっかりガードされている。 「早く番っちゃえばいいのに。こんなワンコみたいな首輪いらなくなるよ?」 「そうだけど…」 「じゃあいったいあの後君らは何してたのさ。まさか、お疲れさまですはい解散、なんて事はないでしょう?」 にやにやと進展の報告を待つ伊奈に、鈴蘭は小さな声で「ダンス」と言った。 「はい?」 「だから…ダンスだよっ」 「……ダンスぅ??なぜに…?」 天然記念物を見たかのように珍しいものを見る目で、伊奈は鈴蘭と誠悟を交互に見た。 「僕、ダンスのステップをおじいさんの秘書に習ったから…ちょっと一緒に踊ってみたんだ…」 「ああ、鈴蘭はリードするのがすごく上手だった」 もう…、だから言いたくなかったのに! 伊奈はあんぐりと口を開き、ぐうの音も出ないといった様子だ。 「…あそ……。こりゃあ…まあ…類の言った通りだな…」 伊奈はぼりぼりと頭をかき、それ以上追及してくることはなかった。 すでに相馬と関係を持っている伊奈からしたら、鈴蘭と誠悟はいったい何をしてるのかとじれったく感じてしまうのはよくわかる。 でも誠悟との出会いは自分にとって宝物で、ゆっくりと大事に関係を深めていきたい。 運命に支配されるのではなく、誠悟の性格やいいところ悪いところ、全て知ってから番になりたい。
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