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「未知が、休学……?」 未知が姿を見せなくなり二週間ほど経った。 鈴蘭が登校すると、教室は未知の話題で盛り上がっていた。 「相馬君、未知が休学ってどういうこと?」 すでに机につき文庫本を開いていた相馬に駆けよって問い詰めた。 「さあ。ただ担任がそう言ってたらしいから、そうなんだろう」 相馬はいかにも興味なさそうに、そう答えた。 「理由は?なんで?」 輪になって未知の噂をしている生徒の一人に尋ねてみた。 「理由?あいつがすることにろくな理由なんてないだろ?多分、学校に来るのに飽きたとかそういうことじゃないのか?」 尋ねられた生徒は半笑いで言い捨てた。 「でも!病気とか怪我とか…!」 「あ~、それはないな」 別の生徒が声を上げる。 「俺、昨日見たもん、九条。いつも通りって感じだった」 「あいつのことなんてどうだっていいじゃん。星崎、もう九条に好き勝手されなくてよかったじゃん」 ついこの間まで未知には何も言い返せなかった生徒達が、王の不在を心から喜んでいた。 「ほんと、何かあったらいつもいつもじいさんの名前出して脅してきてさあ、まじうざかったよな」 「だよな。俺んち、あいつのじいさんとこと取り引きあるから、ムカついても言い返せなかったし」 「俺のとこも。九条グループって手広くやってるからさあ、結局どっかで繋がりあるんだよなあ」 星崎もよかったな、と同情するクラスメイトに、鈴蘭はうんとうなずけずにいた。
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