12/12
前へ
/194ページ
次へ
このタイミングでの未知の休学。 未知がやって来たら何かひと言言ってやろうと思っていたけど、これじゃあまるで自分の方が未知に見捨てられたよう。 「僕のせいかな…。もう二度と僕の顔なんか見たくなかったのかな…」 相馬に答えを求めても仕様がないことはわかりきっている。 でも───、違うよ、未知はお前のことを心から嫌ったわけではない、誰かにそう言って欲しいと思うのは都合が良すぎるだろうか。 「さあな。お前のことが原因かどうかは知らないが、九条が元気で無事ならそれでいいじゃないか」 確かに、病気などで床に伏せっているわけではないらしい。 鈴蘭は相馬の言葉にうなずいた。 「気にするな。ここに来るかどうかはあいつが勝手に決めただけだ。九条がそう自分で決断したのだから、それはお前のせいじゃない」 「相馬君……」 相馬は最後に鈴蘭の欲しかった言葉をくれた。 未知とのことがなければ、鈴蘭は今も相馬のことをクールで人に興味がないと誤解したままだっただろう。 「相馬君、ありがとう…」 未知が戻ってくることがあれば、自分も相馬のように正しい友情を築き直そう。 言いなりにならず、未知が寂しい時にそっと寄り添えるような……。 ぽつんとひとつだけ空席の、未知の机を見つめてそう思った。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1989人が本棚に入れています
本棚に追加