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このタイミングでの未知の休学。
未知がやって来たら何かひと言言ってやろうと思っていたけど、これじゃあまるで自分の方が未知に見捨てられたよう。
「僕のせいかな…。もう二度と僕の顔なんか見たくなかったのかな…」
相馬に答えを求めても仕様がないことはわかりきっている。
でも───、違うよ、未知はお前のことを心から嫌ったわけではない、誰かにそう言って欲しいと思うのは都合が良すぎるだろうか。
「さあな。お前のことが原因かどうかは知らないが、九条が元気で無事ならそれでいいじゃないか」
確かに、病気などで床に伏せっているわけではないらしい。
鈴蘭は相馬の言葉にうなずいた。
「気にするな。ここに来るかどうかはあいつが勝手に決めただけだ。九条がそう自分で決断したのだから、それはお前のせいじゃない」
「相馬君……」
相馬は最後に鈴蘭の欲しかった言葉をくれた。
未知とのことがなければ、鈴蘭は今も相馬のことをクールで人に興味がないと誤解したままだっただろう。
「相馬君、ありがとう…」
未知が戻ってくることがあれば、自分も相馬のように正しい友情を築き直そう。
言いなりにならず、未知が寂しい時にそっと寄り添えるような……。
ぽつんとひとつだけ空席の、未知の机を見つめてそう思った。
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