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オメガ同士のカップルの子供が必ずしもオメガであるとは限らない。 その血筋にベータの血が混ざっていれば、かなりの高確率でベータの子供が生まれてくる。 鈴蘭の家系はアルファの人間が多いので、もちろんアルファの子供かもしれない。 しかしよりオメガの子供の生まれてくる確率を高めるために、オメガの相手を鈴蘭にあてがおうとしているようだ。 運命の番をみつけたというのに父の望む結婚をすれば、鈴蘭は番うことはできない。 じゃあなぜ自分はオメガに生まれてきたのだろうか。 それはやはり父の言うとおり、オメガとして次のオメガを生産するためになのだろうか──。 「鈴蘭」 昇降口を出たところで誠悟に声をかけられた。 今日、誠悟の父親は手術の予定が入っているため卒業式に来ることはできないという。 母親はいないそうで、その理由について鈴蘭は詳しく聞くことが出来ずにいた。 なんとなく話す雰囲気で、誠悟の両親が離婚しているのだと気がついたからだ。 鈴蘭の両親も相変わらず忙しく式には来ていない。 式の後、二人で食事にでもいこうという約束をしてあった。
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