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背後で誠悟が息を飲む気配がした。 「ここにキスして」 愚かな願いだとは自覚している。 一時の感情からいったいどれだけのオメガが一生の後悔を背負うことになっているのかも知っていた。 でも鈴蘭のうなじを噛んでいいのは誠悟だけ。 誠悟に一生を縛られてもいいと願っている。 微動だにできない誠悟の胸にそっと体を擦りよせた。 彼の腰に腕を回し、全身の力を抜いて身を預ける。 するとやっと誠悟の腕が鈴蘭の体を抱きしめ返してきた。 「キス、して」 首を横に反らせてみせると、恐る恐るといった調子で誠悟の唇が鈴蘭の首筋を這った。 「は……、ぁ……」 確かに感じる誠悟の感触に、鈴蘭は全身を震わせた。 柔く押し当てられる誠悟の唇は、ほんの僅かな面積なのに全身の神経がその一点へと集中していく。 「あ、あぁ……」 舌でねろりと舐め上げられ、鈴蘭は立っているのも困難な快感にめまいを覚えた。 時折、誠悟の歯の先が皮膚を引っかく。 そのままつぷんと肌を突き破ってしまえばいいのに───、そして自分を永遠に誠悟へと縛りつけてくれればいい。 誠悟の首へ腕を回し、もつれ合う体を鈴蘭はベッドへと誘った。
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