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一階のリビングに置きっ放しになっていた鞄から、椿にもらったシガレットケースを取り出した。
その中には抑制剤と、もし望まぬ行為を受けた時のために常にアフターピルがしまわれている。
もしこのまま何も対処を行わなければ、きっと誠悟の種を身籠もってしまう。
別にそれでもよかった。
きっと一生惹かれ続ける人の子供なら、鈴蘭は喜んで産みたいと思う。
でも──、それを今の誠悟が望むとは思えなかった。
だったら誠悟の精が着床してしまう前にピルを飲んでおかなければならない。
母性なんてものが自分の中にあるとは思わないけれど、それでもなぜこんなにも虚しい気持ちになるのだろうか。
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