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深夜に目覚めた誠悟は、隣にあるはずの温もりが消えていることに気がついた。
すっかり欲を吐き出して冷静になった脳で、改めて自分の愚行を思い出した。
「鈴蘭?」
部屋はしんと冷えていた。しかし階下で人の気配がする。誠悟はベッドから抜け出し、落ちた衣類を身につけた。
その時、勉強机の上に置かれた一枚のメモ用紙が視界の隅で光って見えた。
窓から入る月明かりに照らされ、やたらと存在感を放っているそれを、誠悟はふと手に取った。
『誠悟へ』
母親が残した手紙と同じ書き出しに、不穏な気持ちで胸が苦しくなった。
『誠悟へ
もし誠悟が僕のことを運命よりももっと好きになってくれるなら、きっとまた会えると信じてる。誠悟に運命よりももっと好きになれる誰かが現れるのを祈っています。鈴蘭』
愛の告白と、別れを告げた置き手紙だった。
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