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POLARISは星崎の傘下として立ち上げた。星崎のデザイナーの中から若いデザイナーを抜粋し自由にデザインさせた。 一号店は日本ではなく海外の、レオの一族が経営する百貨店の中でオープンした。海外のアーティストや俳優、モデル達を多く友人に持つレオに、彼らを紹介してもらい、POLARISの服を着てパパラッチの前に登場してもらった。 海外でブランドの人気が安定してから日本での一号店をオープンさせた。それがちょうど三年前。POLARISの売り上げは星崎の売り上げをとうに上回っている。 街を歩けばPOLARISの服を着た人を見かける。決してファストファッションではないが、ハイブランドでもない。富裕層じゃなくても買えない値段ではない。 ブランド立ち上げ当初は渋い顔をしていた父親も、最近の実績を見て態度を柔和させた。星崎は売り方を変え生き残ったのだ。もう鈴蘭が女もののドレスを着なくても、代わりにファッション誌で見かけるモデル達がそれを着てくれる。 それに、もう鈴蘭にドレスは似合わない。 この七年で鈴蘭の外見は青年へと変貌した。背も少し伸び、肩幅も広くなった。綺麗な顔だとは言われるが、中性的だとは言われなくなっていた。
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