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煌びやかなLEDライトと赤と緑のクリスマスカラーで街が彩られる季節になった。クリスマスイブの今日、行き交う人達は忙しなく、しかしとても幸せそうに見える。 駅前の大きなクリスマスツリーの前で、鈴蘭は誠悟が来るのを待っていた。夕方も四時を過ぎるとすっかり夜の入り口といった暗さになる。その夕闇の中で明るく灯るツリーのライトに目を奪われていた。 「大丈夫!?」 切羽詰まった小さな叫び声がした。その声の方を見ると、若い女の子がうずくまっている。女の子の周りには小さな人垣が出来ていた。 急病かと鈴蘭が一歩足を踏み出した時、「オメガだ!」と誰かが言った。鈴蘭にはわからなかったが、あの女の子はオメガ性で、どうやら突発的な発情期にみまわれたようだった。 口元を抑え立ち去っていくのはアルファ性の人達だろう。彼女のフェロモンを嗅ぎとって、眉をしかめて離れていく。 「あなた、大丈夫?お薬は持ってるの……?」 中年の女性が女の子をのぞき込むが、彼女は震えるばかりだ。 「あの、僕、薬持ってます」 鈴蘭はかばんから注射式の抑制剤を取り出した。 「ありがとう。ねえ、あなた、アレルギーはあるの?」 女性は慣れた口調で女の子に尋ねた。彼女がふるふると小さく首を横に振ったのを確認すると、女性はすぐさま注射を打った。
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