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オメガに生まれてよかった。誠悟と運命で繋がれていてよかった。この広い世界で、たったひとりの運命の番に出会えて、よかった。
のどの奥がつっかえて、ふんばらないと涙がこぼれそうになる。突然うつむいた鈴蘭の顔を、誠悟は心配そうにのぞきこんだ。
「鈴蘭……?」
「せ、いご……」
「うん……?」
「はやく……、早く、誠悟の部屋に行こ……」
こんな時に、抱いて欲しいなんてはしたないだろうか。でも、胸が愛で満たされて、そうしたら身体の内側を誠悟で満たして欲しくなった。
再び誠悟と恋を始めてから、まだ鈴蘭達は体を繋げていなかった。十代のような幼く清い恋からリスタートしたのだ。
誠悟と再会して二ヶ月。高校最後の日に経験した快感の残り火が、鈴蘭の欲望を煽っていく。
「お願い……。今夜は僕を、離さないで……」
震える指で誠悟の服を掴んだ。その指に重なる誠悟の手も、鈴蘭と同じように小さく震えていた。
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