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「お願い…!僕のここに君の全部を流し込んで…!」 ドレスの裾を捲り上げ、鈴蘭ははしたなくも両脚を広げた。 オメガの男性には後孔の奥に妊娠できる器官が存在する。 ヒート状態でアルファとオメガが性行為を行うと百パーセントに近い確率で妊娠するのだ。 小学生の時に保健の授業の時間、先生が黒板に描いたオメガの体の仕組み。 脳裏にはチョークで描かれたその絵が浮かび、自分の身体の奥にもそれがあるのだと自覚する。 アルファを迎えやすくするように、子宮への道は潤んでいく。 腿に誠悟の硬直が触れて、鈴蘭は歓喜の涙に瞳を潤ませた。 繋がれる、そう思ったとき、遠くで誰かが鈴蘭の名前を叫んだ。 「鈴蘭!どこだ!どこにいる!」 伏見の声にはいつもの慇懃さが消えていた。 「鈴蘭!ああ…、どうしよう…。この匂いは…発情期だ…!」 声はどんどん近づいてきた。 足音は二人分。 「いた!」 鈴蘭達を優しく隠してくれていた茂みを乱雑に荒し、闖入者達は鈴蘭と誠悟を引き離してしまった。
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