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「嘘だあ。だってオメガだよ?オメガなんかが王様になれるわけがないじゃん」 仮説の域を出ない話に、鈴蘭は眉をしかめる。 しかし椿は楽しそうに鈴蘭の瞳を見つめてきた。 「でもね、その墓から首輪も見つかっているんだ。うなじをしっかりと守れる太い輪の首輪。偉い学者の先生達が、古代の王や女王はオメガだったって新説を発表してるんだよ。大昔は一人の特別なオメガを頂点にして、アルファやベータは文明を築いていた、って!」 「信じられないよ」 「そう?だってオメガを頂点にしてその下にアルファ、更に下にベータの人口比を配置してみなよ。綺麗なピラミッド型になるだろう?」 「確かに…。そうなのかなあ?」 アルファはベータよりも圧倒的に数が少なく、オメガは更にもっと少ない。 椿に教えられるまでは、オメガのような弱い性はその弱さから廃れていき、そういう人口比率になったのだと思っていた。 「それってこの家にも当て嵌まるの、鈴は気がついてた?」 椿はさっきまで浮かべていた笑みを消した。 何か大切な話をこれからするのだ、と鈴蘭は身構えた。
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